「奥信濃100km」
開催に向けて懸命にコース整備中
幸せなトレイルラニング
野山を駆けまわり、泥だらけになってゴールにたどり着くと、そこに笑顔で出迎えてくれる仲間たち。うれしいなあ、私は汗と涙と泥でぐちょぐちょなのに、そんなことおかまいなしに抱きついてしまいます。トレイルラニングっていいなあ、最高の瞬間です。そんな幸せなトレイルラニングですが、コロナ禍で大会中止を余儀なくされたり、参加人数の制限のために「うれしいなあ、楽しいなあ」の機会が減ってしまいました。
私たちにできること
トレイルランナーのみなさん、奥信濃に走りに来ませんか? 奥信濃は長野県北部の6市町村からなるエリア。豪雪地帯として知られ、スキー王国とも呼ばれる水の美しい山村地域です。総務省の人口推計予測によるとこの地は5年で10%の人口が減り、高齢化比率は10年後には40%以上になると言われています。またコロナ禍で基幹産業のひとつである観光業は大打撃を受けてしまいました。「なにか役に立てることはないのか?」。そんな奥信濃で生まれ育った私は、自身の得意なことで故郷の力になりたいと思うようになりました。
奥信濃そのもの
ロングトレイルというアイディアはすぐに思い着きました。地図に線は引いてみたものの、地元の私たちでさえ知らないトレイルや、学校の先生から聞いた古道ばかりでした。現場に行ってみると藪で通れなかったり、そもそも道がない区間もたくさんありました。けれど、トレイル探しは地元の魅力を再発見するいい機会にもなりました。
この地域には西国街道やとりで街道など、生活物資の運搬や湯治のための古道があります。そして樹齢300年を超えるぶなの原生林、木島平の美しい田園風景、果樹園に通じる小道があります。全部つないだら、なあんだ旅じゃないか。奥信濃を巡る旅トレイルじゃないか、と思ったのです。
走れる100km
これらの道をひとつにするために、いまコースの整備を進めています。藪をかき分け(いてて)、渓流に滑り落ち(びしょ濡れ)、懸命に作業しています。トレイル率は90%以上なのに、累積標高差は4000m以下という、国内では珍しい走れる(走らされる)「100kmコース」、もちろんペーサーもつけられます。そして木島平村の高社山のまわりをぐるり1周する「30kmコース」、小学生、未就学児には「ショートコース」を用意しました。たくさんの方に奥信濃の、幸せなトレイルラニングを楽しんでほしいのです。「奥信濃100」、トレイルラニングと奥信濃が100年続くように願いを込めました。ウルトラ好きから女子、子供たちまでみんな楽しんでいただけます。幸せなトレイルラニング/奥信濃でお待ちしています。
「奥信濃100」大会実行委員長 山田琢也